男性では膀胱出口部の尿道周囲に前立腺があり、40歳代から徐々に肥大(前立腺肥大)してきます。前立腺が肥大すると尿道に張り出して尿道が狭くなり、尿の勢いが悪くなる(尿勢低下)、無意識にいきんで排尿する(腹圧排尿)、排尿後にまだ尿が残っている感じがする(残尿感)、急な尿意(尿意切迫感)でトイレが近くなる(頻尿)などの下部尿路症状が起きるようになります。このような状態を前立腺肥大症と呼びます。
前立腺は長年かけて徐々に肥大しますが、飲酒や抗ヒスタミン薬を含む風邪薬の内服をきっかけに、狭くなっていた尿道が完全に閉塞し、それまでなんとか排尿できていたのに突然排尿できなくなってしまう(尿閉)ことがあります。
様子をみていても短時間で回復することはありませんので、すぐに医療機関を受診して、尿道カテーテルを膀胱に挿入し導尿を受ける必要があります。前立腺の大きさや原因によっては、自排尿ができるようになるまでカテーテルを留置しておく必要があります。
なお、尿閉の原因のほとんどは前立腺肥大症ですが、加齢や大腸がん手術後などの影響で膀胱の収縮力が低下している場合にも起きることがあります。