くしゃみや咳をした時や縄跳びや走るなどの運動時に、不随意に漏れる尿漏れを腹圧性尿失禁といいます。出産、肥満、更年期以降の女性ホルモンの低下、加齢、子宮摘出などによって骨盤底が脆弱化し、膀胱や尿道が骨盤内で不安定になることが主な原因です。この結果、尿道が閉じている圧が低くなり、腹圧がかかって膀胱内の圧が少し上昇しただけで尿道の閉鎖圧を上回ってしまうこととなり、尿が漏れてしまいます。
治療の基本は骨盤底筋訓練で、膣や肛門を10数秒収縮させたりリラックスさせたりを10回繰り返すことを1クールとして、日に3-5回行います。肥満の人では、減量も腹圧性尿失禁の軽減に有効です。薬物治療としてはβ 2 アドレナリン受容体作動薬の塩酸クレンブテロールがありますが、効果は限定的です。これらの保存的治療は軽症から中等症で効果があり、重症例やスポーツを希望する人には約2泊3日の入院で行えるTVT手術やTOT手術が有効です