急な尿意でトイレに行きやくなるため昼も夜も頻尿となり、毎回ではないもののトイレの直前や下着を下ろしている最中に漏れてしまう尿漏れを切迫性尿失禁といいます。膀胱炎などで同様の症状が起きることもありますが、多くの場合、過活動膀胱が原因です。過活動膀胱は尿をためている時に膀胱が勝手に収縮してしまう状態で、40歳以上の13.8%が
経験しているとされます。脳血管障害や脊柱管狭窄症など脳脊髄疾患のほか、加齢、前立腺肥大症や骨盤臓器脱なども原因となります。
原因となる疾患の治療で症状が改善しますが、原疾患を治療できない場合やはっきりとした原因がない場合は、骨盤底筋訓練や尿意を少し我慢する膀胱訓練が治療の基本となります。しかしそれだけでは十分な効果が得られないことも多く、β 3 アドレナリン受容体作動薬や抗コリン薬などの薬物療法が有用です。薬物治療で効果が不十分、あるいは副作用などで継続困難な難治性過活動膀胱症例には、ボツリヌス毒素膀胱内注入療法を外来で行うことができます。
ただし、過剰な水分摂取が症状を増悪させていることも多く、飲水コントロールが必要となることもあります。