泌尿器科専門医がお答えします

Q.

【 前立腺がん放射線治療 】 59歳男性です。先日前立腺がんと診断されました(PSA6.5、グリソンスコア 3+4)。放射線治療を受けようと思っていますが、まだ現役であり、できるだけ負担のかからない短期間の治療を希望しています。最近はよく寡分割照射という治療法を耳にしますが、従来の治療と比べてどのように違うのでしょうか。

A.

現役でお仕事を続けられている最中に前立腺がんと診断され、今後の生活の質(QOL)への影響もご心配されておられることと思います。前立腺癌に対する放射線治療は、前立腺の外から照射する方法(外照射)と、前立腺の中から照射する方法(組織内照射・密封小線源療法)の2つに大きく分けられ、ご質問頂いた寡分割照射法は、外から照射する方法の一つとなります。更に外照射は、IMRT(強度変調放射線治療)や SRT/SBRT(定位放射線治療)、3D-CRT(3次元原体照射)や粒子線治療(重粒子線、陽子線)などに分けられます。ご質問頂いた寡分割照射は定位放射線治療(SRT/SBRT)となり、その特徴は一回の照射量を増やし(高線量)、逆に照射回数を減らすことで、通常の回数が少なくなる点が上げられます。一般的には5回から 20回程度で照射が終了することが多いです。また高線量を照射する為、前立腺へ正確に当てないと周囲の組織(膀胱や直腸)に影響が出てしまう為、照射中の前立腺の動きを把握する為に金マーカーを前立腺内に埋め込むことや、前立腺と直腸の間にゼリー状の物質を注入してスペースを広げ、できるだけ放射線が直腸などに当たらないような工夫も始まっています。

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