健診での PSA 値が高く、また診断をつけるための前立腺生検も複数の選択肢があり、大変悩んでおられることと思います。前立腺の組織を採取(生検)する経路として、直腸から採取する方法(経直腸生検)と、会陰部(えいんぶ:陰のうと肛門の間)から採取する方法(経会陰生検)の2つに分けられます。経直腸生検のメリットは、最も標準的な生検方法で歴史的な実績もあり、前立腺が直腸に接しているため、針を刺す深さも比較的短く、麻酔も局所のみで併用しない施設もあります。また経直腸生検のデメリットとしては、抗生物質を併用するため通常は問題ありませんが、直腸内の細菌による前立腺の炎症を一定の割合で合併する可能性が上げられます。次に経会陰生検のメリットとしては、直腸からの生検と異なり、皮膚の上(会陰部)から針を刺すため、細菌による感染・炎症のリスクが少ない点が上げられます。また経会陰生検のデメリットは、会陰部から前立腺まで針を進める為、ある程度しっかり麻酔を効かせる必要があり、日帰りで多く行っている施設もありますが、多くの施設では入院で行っていることが多いと思います。両方の生検方法を選択できる施設も多く、ご自身の都合はどちらの生検方法が好ましいか、ご担当の先生に改めてご相談されては如何でしょうか。